熱交換器とは

アルファ・ラバルは、スウェーデン、ルンドに本社を置き、世界約100カ国以上に販売・サービス拠点を持ち、35か所の生産拠点と20か所の研究・開発センターを有している熱交換器、遠心分離機、流体機器のおける世界のトップメーカーです。アルファ・ラバルの歴史は長く、1878年創始者グスタフ・デ・ラバルが世界初の連続式クリーム分離機を開発した時に始まり、1883年には、アルファ・ラバルの前身となる、ABセパレータ社を設立しました。その後、1930年代にプレート式ミルク殺菌器を世界で始めて実用化し、創立以来130年以上にわたり、時代の最先端をいく技術で、さまざまな機器の開発を続けてきました。ここでは、プレート式熱交換器の基本である伝熱およびその計算について説明していきます。

伝熱の考え方

自然界ではある系の中の熱は平衡点に達するまで移動します。熱は両物体間に温度差がある限り熱い物体より冷たい物体に移動します。

熱交換器は、この均衡点を見出す原理に従います。プレート式熱交換器では熱は、熱い流体と冷たい流体を隔離している伝熱板プレートを通して移動します。従って低いエネルギーレベル差しかない場合でも、流体を加熱・冷却することが可能になります。両流体の熱が移動する理論は下記の原則にもとづいています。

  • 熱は常に熱い物体より冷たい物体に移動する
  • 両物体間には常に温度差が存在する
  • 放熱を無視すると熱い物体の失った熱量と冷たい物体の得た熱量は等しい

伝熱のタイプ

熱は次の3つの方法によって移動します。

  • 放射 熱は放射によって移動
  • 伝導 エネルギーが原子または分子の運動によって固体中または静止流体中を移動
  • 対流 流体のある部分が他の部分と混合することによりエネルギーが移動

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熱交換器

熱交換器は熱を継続的にある流体から他の流体へ移動するための機器です。熱交換器には2つの型があります。

  • 一つは熱交換される混合しない両流体が直接接触する直接熱交換器。この例としてはクーリングタワーが挙げられます。この場合、水が空気と直接接触することによって冷却されます。
  • もう一つは壁面により隔離された両流体が、この壁面を通して熱交換を行う間接熱交換器です。

ここでは間接熱交換器のみを取り上げます。間接熱交換器にはプレート式、多管式、スパイラル式などいくつかの種類があります。プレート式熱交換器は多くの場合最も効率の良い熱交換器で、一般的に伝熱の問題に対して最適なソリューションを提供することができます。プレート式熱交換器の特長は以下の点が挙げられます。

 

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伝熱部が薄く出来る

プレート式熱交換器の伝熱部である伝熱板の薄さは一般的に0.4-0.8mmであり、多管式熱交換器と比較しても薄くこれは伝熱効率の観点から優れています。

流体の乱流効果

乱流効果は両流体間に効率のよい伝熱をもたらします。これにより高い総括伝熱係数は必要な伝熱面積を小さくし、熱交換器のコンパクト化を実現します。さらに、より高い乱流効果によって伝熱面の汚れに対して自己洗浄作用をもたらし、汚れの付着を抑えることで洗浄インターバルがより長くとれ、開放洗浄の頻度をおさえ長期にわたって利用できるメリットがあります。

伝熱面積の柔軟性

ガスケット式プレート式熱交換器は、伝熱板をフレームに組み込んだ構造ですので、伝熱板枚数を増減することによって容易に能力の増減が可能です。また伝熱板の洗浄はボルトを外し、遊動側フレームを移動し伝熱板を取り出すことで容易に可能です。

幅広いθバリュー

アルファ・ラバルのプレート式熱交換器の多くは1つの型式に異なった波形を有しています。1つはやや鈍角の波形を持つ伝熱板で圧力損失は大きくなりますが、伝熱効率は高くなります。これはHighθプレートと呼ばれます。一方で、やや鋭角の波形を持つ伝熱板は圧力損失が小さくなるというメリットがある反面、伝熱効率は少し低くなります。これはLowθプレートと呼ばれます。近年、アルファ・ラバルではこれまでのHigh/Lowθの伝熱板に加えて、表面と裏面で流路断面積の異なる伝熱板をラインナップし、適切に伝熱板配列を設計することで圧力損失と伝熱効率のバランスのとれた設計が可能となっています。(新型Tシリーズから順次対応)

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計算方法

液/液熱交換器の伝熱計算を行うための重要な数値は、次の6つです。

  • 伝熱量・交換熱量(ヒートロード)
  • 低温側・高温側流体のそれぞれの流量
  • 低温側・高温側流体の入口及び出口温度
  • 低温側・高温側流体の許容圧力損失
  • 最高使用温度(設計温度)
  • 最高使用圧力(設計圧力)

温度条件

両流体の入口及び出口温度を意味します。

T1=高温側入口温度
T2=高温側出口温度
T3=低温側入口温度
T4=低温側出口温度

これらの温度条件は下記の図で表します。

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伝熱量・交換熱量(ヒートロード)

大気への放熱を無視すると、一方の流体の減少する熱量は、他方の流体の増加する熱量に等しくなります。伝熱量(Q)は kW または kcal/h で表示されます。

対数平均温度差(LMTD)

対数平均温度差(LMTD)は熱移動に必要なポテンシャルを表しています。

θバリュー

θバリューは一方の側の温度差とLMTDの関係で決まります。

(δt=一方の流体の入口温度と出口温度の差)

流量

これは重量または容積のどちらかで表します。質量流量の単位はkg/s又はkg/hで、体積流量の場合はl/min又はm3/hとなります。(体積単位を重量単位に換算するには、体積流量に密度をかけます)

密度

密度(ρ)は単位容積当たりの質量で、kg/m3で表します。

比熱

比熱(Cp)は1㎏の物質の温度を1℃高めるのに必要なエネルギー量を意味します。水の比熱は18℃で4.186 kJ/(㎏・K) {1.0 kcal/(kg・℃)}です。

熱伝導度

熱伝導度(λ)は流体の熱の伝わりやすさの尺度で、W/(m・K) で表します。 熱伝導度が大きいほど熱が伝わりやすくなります

粘度

粘度(μ)は流体の流れやすさの尺度で、センチポイズ(cp)又はセンチストーク(cst)で表します。 粘度が小さいほど流れやすくなります。

圧力損失

圧力損失(ΔP)はプレート式熱交換器の大きさに直接関係します。最大許容圧力損失を増加し、ポンプ動力のランニングコストが許容されるのであれば、熱交換器はコンパクト・安価に設計できます。

汚れ係数

汚れ係数(Rf)は、余裕率(%)又は汚れ係数として表現されマージンを表します。プレート式熱交換器は多管式熱交換器より高い乱流を得るように設計することが可能であり、一般的に同じ仕様に対して小さい汚れ係数で十分なことを意味します。プレート式熱交換器の設計にあたってのマージンは通常10-20%程度といわれています。

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総括伝熱係数

総括伝熱係数(k)は熱の流れに関する効率を表す尺度で、流体の物性(密度、比熱、熱伝導度、粘度)、使用する熱交換器の型式、伝熱部の流速、伝熱板の材質・厚さ及び汚れ係数により、効率を総合したものです。総括伝熱係数はW/(m2・K)又はkcal/(m2・h・℃)で表します。

Q=M×Cp×δt

ここで Q=伝熱量 (kWまたはkcal/h)

 

計算手順

伝熱量は次の式により得られます。

Q=M×Cp×δt
Q=k×A×LMTD

ここでは

Q=伝熱量 kW = kJ/s  {kcal/h}
M=流量   kg/s  {kg/h}
Cp=比熱  kJ/(㎏・K)  {kcal/(kg・℃)}
δt=一方の流体の入口温度と出口温度の差 K  {℃}
k=総括伝熱係数   kW/(m2・K)  {kcal/(m2・h・℃)}
A=伝熱面積 m2
LMTD=対数平均温度差  K  {℃}
T1=高温側入口温度  ℃
T2=高温側出口温度 ℃
T3=低温側入口温度 ℃
T4=低温側出口温度 ℃

LMTDは次の式を使って計算で求められます。

総括伝熱係数Kは次の式で定義されます。

α1=高温側流体とその伝熱表面の間の伝熱係数 W/(m2・K)  {kcal/(m2・h・℃)}
α2=低温側流体とその伝熱表面の間の伝熱係数 W/(m2・K)  {kcal/(m2・h・℃)}
δ=伝熱面の厚さ m
λ=金属の熱伝導率  W/(m・K)  {kcal/(m・h・℃)}
Rf=汚れ係数 m2・K/W  {m2・h・℃/kcal}

熱交換器の設計余裕率は汚れ係数以外にも、マージン(総括伝熱係数余裕率)%として表すこともできます。

k(clean) =汚れ係数を含まない総括伝熱係数k値
k(service)=汚れ係数を含む総括伝熱係数k値

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上記全ての数値がプレート式熱交換器の型式選定・伝熱面積選定に関与します。伝熱板材質の選択は熱交換効率以外に強度及び腐食性に大きく関係しますので重要な要素となります。プレート式熱交換器では、一般的な材質としてはステンレススチール、チタンをはじめ254SMO(*1)、ハステロイ合金(*2)、ニッケル、グラファイトなどの特殊材質で製作することが可能です。

(*1) : 254SMOはフィンランド  オウトクンプ社の登録商標です
(*2) : ハステロイはアメリカ ヘインズ社の登録商標です

 

プレート式熱交換器では温度差が小さい場合においても伝熱可能であり、また伝熱板の厚さを薄く(0.4-0.8mm)できるメリットがあります。さらに高い乱流効果によってαの値を大きくとることが可能です。それにより一般的な多管式の熱交換器と比較して液/液の熱交換の場合において3-5倍程度(蒸発・凝縮などの2相流の場合は2-3倍程度)の総括伝熱係数Kの値が採用できます。

また前述のようにプレート式熱交換器の大きさと価格に影響を与える重要なパラメータは許容圧力損失とLMTDの値になります。多くの場合、許容圧力損失とLMTDの値が大きくなると熱交換器はコンパクトになります。特に廃熱回収用途では、熱交換器のコスト(設置コストも含めた導入コストとメンテナンスも含めたランニングコストの合計)と回収熱量の関係が重要であり「どれだけメリットがあるのか」という投資回収にかかる期間が計画実行の鍵となります。

プレート式熱交換器の性能計算は、伝熱板のプレス形状、プレート流間ならびに許容圧力損失など様々な条件が影響を与えます。アルファ・ラバルでは、独自のプレート式熱交換器専用のサイジングソフトウェアを開発しています。プレート式熱交換器の設計のご要望は、正規代理店または下記の問い合わせフォームからご依頼ください。

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