タンパク質危機に挑む:次世代食品を支えるアルファ・ラバルの技術力
世界的な食料供給への圧力が高まる中、増え続ける人口を養うための革新的な手段を見つけることが、かつてないほど重要になっています。特に、タンパク質の新たな供給源を確保することが急務です。 その最前線にいるのが、アディセオ(Adisseo)とカリスタ(Calysta)による合弁会社、カリシオ(Calysseo)です。アディセオは動物栄養用飼料添加物の世界的リーダーであり、カリスタは微生物を活用して魚類や家畜向けの食品を生産する分野の先駆者です。 カリシオは、耕作地も植物性・動物性原料も一切使わず、生物多様性を守りながら栄養価の高いタンパク質製品を生み出す「次世代食品」の開発に取り組んでいます。
更新日 2025-05-09この合弁事業は、中国に生産施設を立ち上げ、水産養殖向けの革新的な飼料ソリューションの開発に着手しました。これは、世界需要の70%を占めるアジア市場への安定供給を実現するための取り組みです。
微生物から動物飼料を大量生産へ
Calysseoは、バイオマス処理を通じて微生物由来のタンパク質製品を製造しています。簡単に言えば、タンク(バイオリアクター)内で微生物にガスを供給することで、微生物タンパク質へと変換させる仕組みです。分離工程では、液体からバクテリアバイオマスを分離し、タンパク質製品へと加工します。この工程でCalysseoは、より少ない資源でより多くを生み出すという目標を実現するために、アルファ・ラバルの独自機器であるPureFerm Bactofuge™遠心分離機を採用しました。
「お客様にとって最大の課題は、このプロセスを開発し、パイロット段階から本格的な生産規模へとスケールアップすることでした」と、次世代食品向け分離技術のスペシャリストであるアルファ・ラバルの再生可能資源部門・グローバルセールス担当のドミトリー・スミルノフは語ります。「私たちの役割は、バクテリアのバイオマスを液体からどのように効率よく分離するかを見極めることでした。彼らが目指す生産規模では、膜処理では容量が足りず、PureFerm 750 Bactofugeが最適だと判断しました。」
「2021年には英国でお客様と共に小型の分離機による試験を行い、成功を収めました。その後、中国に移り、2022年に分離機を設置。以降2年間、お客様と協力して技術の最適化に取り組みました。設置後に発生した課題にも一緒に取り組み、2024年末には最終調整を完了。お客様にも非常に満足いただける成果が得られました。」
この成果は、重慶近郊の工場で稼働している6基のPureFerm 750 Bactofuge技術搭載機によって実現されています。これらは、収率の最適化と濃度・品質の向上において、他の代替技術を凌駕する実力を示しました。
「PureFermはこの用途に最適な機械です」とドミトリーは説明します。「この機器は密閉構造(Hermetic Design™)を採用しており、さまざまな圧力や濃度環境下でも稼働できるうえ、設定を変更せずに処理能力を高めることが可能です。これはお客様にとって大きなメリットです。」
「このプロセスの鍵は、製品を機械から排出する必要がないという点です。つまり、連続的な処理が可能になります。例えばビール工場では、酵母からビールを分離し、スラッジを排出しなければなりませんが、ここではバクテリアのバイオマスが濃縮され、液体から分離され、重相として連続的に排出されます。」
「私たち独自の技術によって、従来技術と比べて最終製品の高濃度化が可能になります。」
PureFerm 750は密閉構造(Hermetic Design™)を採用しており、外部からの汚染がなく、洗浄の頻度も低減されます。
「このプロジェクトは、PureFerm 750のような独自技術を用いたバクテリア由来タンパク質の供給において、私たちが世界をリードしていることを示しています」とドミトリーは語ります。「地球にはこのような技術がますます必要とされており、土地や動物に負荷をかけずにタンパク質を生み出す方法として、今後も市場は拡大していくでしょう。アルファ・ラバルはその中で大きな役割を担うと確信しています。」
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