ディスク型遠心分離機が実現する 高効率なユーグレナ生産
株式会社ユーグレナは、微細藻類ユーグレナ(和名 ミドリムシ)を食品用途において世界で初めて屋外大量培養を成功させ、健康食品や化粧品などのヘルスケア分野やバイオ燃料など多岐にわたる事業を展開し、微細藻類市場を牽引している企業です。高い生産性かつ高品質を維持するために、アルファ・ラバルのディスク型遠心分離機を活用 しています。
更新日 2025-03-11微細藻類市場を牽引するユーグレナ社
微細藻類ユーグレナ(和名 ミドリムシ)は、産業利用の需要が高まっている微細藻類の一種です。栄養価が高く、ビタミンやミネラル、アミノ酸など59種類の栄養素をバランスよく含んでおり、健康食品としての利用が進んでいます。また、代替食品としての研究開発も進んでおり、持続可能な食料供給の課題解決策の一つとして期待されています。さらに、バイオ燃料や化粧品など、様々な用途での利用が進んでおり、その可能性は無限大です。株式会社ユーグレナは、世界で初めて食用としてミドリムシの屋外大量培養を成功させた微細藻類市場を牽引する企業です。高品質なミドリムシを生産し、食品や化粧品、バイオ燃料、飼料・肥料等、幅広く事業を展開しています。
アルファ・ラバルの遠心分離機は、ユーグレナ・グループにおいて藻類原料の生産を担っている、八重山殖産株式会社で導入されています
ミドリムシをはじめとする微細藻類の培養プロセスには高い技術を要しますが、八重山殖産においては最適な環境条件を維持することで高い生産性を実現しています。
その中で遠心分離機は、効率的な大量培養・生産での細胞の回収、不純物の除去という2つの重要なプロセスにおいて役割を果たしています
■デカンター型
デカンター型遠心分離機は、粒子サイズが大きい固体と液体の分離を高効率で行います。回転体の中にスクリューが内蔵されており、大量の固形分があっても押し出すことができ、さらに脱水できることが特徴です。
■フィルター式
粒子サイズが更に小さい0.1μm 未満の固形分除去や、比重差のない物質間の分離や濃縮に適用します。フィルターの場合は交換が必要となります。
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■ 八重山殖産に設置されたディスク型遠心分離機FEUX510 |
会社紹介
株式会社ユーグレナ
2005年に創業、「人と地球を健康にする」をパーパスに掲げた東大発のバイオベンチャー企業で、ユーグレナ(和名:ミドリムシ)を中心とした微細藻類に関する研究開発、ヘルスケア事業、バイオ燃料事業、ソーシャルビジネス等を行っています。
八重山殖産株式会社
1975年創業、石垣島産のヤエヤマクロレラの生産を開始。クロレラを通じ「世界中の人々の健康に貢献する企業」「沖縄県が誇る美しい自然と調和、共生する企業」を理念とし、微細藻類の研究開発と培養・生産を行っています。
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用途に適した遠心分離機の選択とプロセスの最適化
分離に用いられる技術は様々な種類がありますが、それぞれの粒子サイズと固形分含有量によってデカンター型、ディスク型、メンブレンフィルターなどの適した分離機を選ぶことが、生産効率に大きく関わります。ミドリムシのように、粒子サイズが10μm以下のものもある微細藻類などの微生物の回収用途においては、遠心沈降面積(遠心分離機の回転によって固体粒子が沈降する面積)を大きくとることができるディスク型遠心分離機が適しています。
ディスク型遠心分離機は、回転軸のまわりに下に開いた円錐形(傘型)のディスク(分離板)を積み重ねることにより1m2という据付面積で10,000m2以上の広大な分離沈降面積が達成でき、小さなスペースで大量・高速の分離が可能です。
アルファ・ラバルのディスク型遠心分離機は0.3mmの幅で積み重ねることができ、最大430,000m2まで遠心沈降面積を拡大できます。また、アルファ・ラバルにはセパレーションラボがあり、お客様から持ち込まれた様々なサンプルの分離テストを行い、最適な分離方法をご提案しています。
アルファ・ラバルのディスク型遠心分離機とユーグレナ・グループ、八重山殖産での活用
八重山殖産においてはディスク型遠心分離機2機が導入され、インラインでの洗浄工程が設計されています。これもアルファ・ラバルの遠心分離機の特長の1つで、インラインで設計することでサージタンクが不要となるため、スペースの節約・サージタンク設置やそれに関連する設備のコスト削減・プロセスの簡素化・プロセスの効率化など、生産効率向上に様々なメリットをもたらしています。
八重山殖産で使用されているFEUX510は、ディスク型遠心分離機の中でも、比較的濃縮率を上げられることが特長の1つです。八重山殖産では、約18%まで濃縮度を上げています。同社において遠心分離機を使った生産設備管理を担当する内間康之氏は、次のように語ります。
「当社ではユーグレナ以外にクロレラやオーランチオキトリウムなどの微細藻類を生産していますが、それらをいかに効率的に大量培養し回収できるかということが非常に重要です。ディスク型遠心分離機を活用することで、高速で均一な分離が可能なため、収穫量を最大限に引き上げることができています。また、厳しい自社基準を設けるなど品質にこだわっている当社としては、メンテナンスの容易さも大きなポイントです。ディスク型は洗浄がしやすく衛生管理が簡単に行えるため、品質を維持しながら安心して運用することができます。」
八重山殖産株式会社の代表取締役社長 兼 株式会社ユーグレナR&D共同センター長である中野良平氏は次のように続けます。
「当社は、栄養不足や気候変動、食料危機など様々な社会課題の解決を目指して、微細藻類ユーグレナ・クロレラとともに歩んできました。事業の拡大に伴い、大量生産プロセスの効率化は、企業のサステナビリティにも関わってきます。この点において、ディスク型遠心分離機を導入することで、生産プロセスの効率化を図り、消費エネルギーやさまざまなコスト削減に繋げています。」
アルファ・ラバル分離機のメリット
➀ インライン方式の洗浄工程でサージタンクが不要
内部ノズル圧送タイプのためサージタンクを必要とせず直接送ることが可能
➁ 濃縮度を高める独自機能「ボルテックスノズル」
分離固形分の濃縮度が上昇するとノズル流量が増える機能のため、ノズル閉塞のリスクを回避し、高濃度を実現
植物と動物両方の栄養素を持っている、奇跡の生物5億年以上前に地球に誕生した微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)は植物と動物両方の性質を持った微細藻類です。
その名前から虫と勘違いされることがありますが、昆虫とはまったく異なり、ワカメやコンブなどと同じ「藻」の仲間です。体長は髪の毛の太さ程度の直径(約0.05mm)で、裸眼では見ることができません。
植物のように葉緑体を持ち、光合成をして体内に栄養素を自ら作り出し、蓄積することができます。さらに、鞭毛を動かしたり、動物のように細胞を変形させて光に向かって動いたりすることもできます。
ユーグレナのこのような特徴や、植物と動物両方の栄養素を豊富に持っていることから、奇跡の生物と呼ばれています。
世界で初めて株式会社ユーグレナが食用屋外大量培養に成功し、その豊富な栄養素から、主に健康食品として流通しています。一方、近年ではその油脂がバイオ燃料の原料として注目されており、脱炭素の観点からも期待をされている存在です。
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