植物性たんぱく質加工についての質問と回答
Q: 酵素を使用して、アルカリや酸の代わりにたんぱく質を抽出する方法は研究されていますか?
A: このトピックについては、アルファ・ラバルが現在も研究を進めています。酵素の使用には2つの選択肢があります。1つは加水分解のために使用する方法、もう1つは本来の抽出に使用する方法です。酵素加水分解で得られる主な生成物は加水分解物であり、元のたんぱく質が持つ特性は保持されません。そのため、これは抽出とは見なされません。もう一方の酵素の使用方法では、小麦粉やフレーク内の成分を分解して、より多くのたんぱく質を放出させます。この方法では、ネイティブな(変性していない)たんぱく質が得られます。なお、アルカリ抽出法は経済的な手法であり、標準的なアルカリ抽出で味や色に問題が生じる場合に、酵素による抽出の利点が活かされます。
Q: 最終的な分離たんぱく質中の灰分を抑えるために、酸処理として二酸化炭素を使うのは良い選択ですか?
A: 興味深いアイデアですが、これまでたんぱく質の沈殿において一般的には使用されてきませんでした。二酸化炭素処理にはいくつかの制約があります。まず、pHを6未満に下げるのが難しく、これはたんぱく質沈殿に十分な値とは言えず、追加の酸の投与が必要になります。次に、二酸化炭素によるpH低下は、他の一般的な酸と比べて速度が遅く、そのため設備投資コストが高くなる傾向があります。
Q: 食品グレードの植物性たんぱく質は得られますか?
A: はい、得られます。
Q: 膜ろ過システムはサプライヤーから調達していますか? それとも アルファ・ラバル製の膜ろ過システム を使っていますか?
A: アルファ・ラバルには膜ろ過部門があり、膜業界全体での膜ろ過システム使用において豊富な経験を有しています。
Q: なぜ膜ろ過システムはたんぱく質の抽出に使用されないのですか?酸による沈殿やデカンタの代わりに使えないのでしょうか?酸による沈殿でたんぱく質の機能性が損なわれることはありませんか?
A: 膜システムは、酸沈殿の代わりに使用できる場合もあります。実際、特定のケースでは使用されています。ただし、酸沈殿とデカンタによる分離は一般的により堅牢なプロセス構成であり、好まれる傾向にあります。膜による沈殿は、実用化には高度なプロセス最適化が必要です。
また、抽出pHが高い場合には、たんぱく質の機能性が影響を受ける可能性があります。これは、使用されるpH値や滞留時間の問題です。一方で、膜沈殿たんぱく質よりも酸沈殿たんぱく質の方が、抗栄養因子の含有量が低いという報告もあります。
Q: たんぱく質の品質はどのように定量評価していますか?アルファ・ラバルで測定可能ですか?
A: たんぱく質の品質を評価する指標には、必須アミノ酸の組成、抗栄養因子の量、消化性、機能特性、官能特性などがあります。アルファ・ラバルでは、これらの評価を認定ラボと連携して行っています。
Q: この評価について、どこかと提携していますか?私たちはこの分野で新しい製品開発を検討しています。
A: これは前の質問の続きであれば、前述の回答をご参照ください。
Q: 植物性たんぱく質特有の色や風味を除去するには、どのような方法がありますか?
A: 色の除去は、ひまわりたんぱく質など、暗緑色を生成する傾向があるものに限定されます。この問題を防ぐための対策があり、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。現在、アルファ・ラバルでは風味除去のさまざまな方法を研究中であり、現時点では殺菌後にフラッシュステップ(瞬間加熱処理)を行うことで、ある程度風味の軽減に対応しています。また、酵素の使用など、他の方法についても検討されています。
Q: たんぱく質用デカンタの前におけるホワイトフレークのpHは?
A: 通常はpH4.5前後です。これは原料によって異なる可能性があります。
Q: 水洗工程で、たとえば水溶性たんぱく質に関して、たんぱく質の損失はどのように抑えられていますか?
A: 通常、水溶性たんぱく質は水洗工程まで到達せず、そのほとんどはたんぱく質用デカンタで除去されます。pHも依然として低いため、損失は非常に少なくなっています。
Q: PHE(プレート式熱交換器)での蒸発用途には、AlfaVapのみを提供していますか?それとも一般的なPHEも使用されていますか?
A: 蒸発用途向けに特別に設計されたAlfaVap PHEを提供しています。
Q: 欧州で有望なたんぱく源は何ですか?
A: 多くの要素を考慮する必要があるため簡単にお答えするのは難しいですが、地元で栽培可能な作物という前提であれば、でんぷん質作物では黄えんどう豆とそら豆、油糧種子では菜種とひまわりが有望と考えられます。
Q: ホエイ処理におけるUF(限外ろ過)+NF(ナノろ過)での典型的な透過液/濃縮液の比率は?
A: NFシステムでは体積濃縮率が約2倍、UFではおよそ7倍程度が一般的です。これらはあくまで目安であり、原料により変動します。
Q: アルファ・ラバルは、たんぱく質分離物をさらに主成分ごとに分離することができますか?
A: 現在のところ、アルファ・ラバルではこの分野に注力していません。
Q: 製品1トンあたりの概算エネルギー消費量は?
A: 原料や処理工程の程度など、多くの変数によって異なるため、具体的なケースについてはお問い合わせください。
Q: ひまわり種子のホワイトフレークおよび菜種油ホワイトフレークのたんぱく質溶解性は? フレークから分離たんぱく質は得られますか?
A: フレーク自体は不溶性ですが、たんぱく質の溶解性については議論可能です。一般にpHが上がると溶解性も上がり、最適なpHを超えると再び低下します。ホワイトフレークにおける最適な溶解率はおおよそ60〜70%とされています。
Q: アルファ・ラバルの湿式分画プロセスで実績のある原料は?
A: 現時点で最も実績のある原料は大豆であり、アルファ・ラバルは40年以上にわたって大豆処理の経験があります。また、ひまわり、黄えんどう豆、緑豆、その他の植物性たんぱく原料でも当社技術の実績があります。
Q: 湿式・乾式処理の中で、大豆やえんどう豆たんぱく質のオフフレーバーを除去できますか? アルファ・ラバルではどのように対応していますか?
A: 現在、熱処理によってある程度オフフレーバーの除去が行われています。完全な除去は依然として課題です。
Q: ブドウの茎のような「木質系」副産物にはどのような粉砕方法を推奨しますか?
A: 現時点では対象原料として想定されておらず、たんぱく質を抽出可能かどうかを含めた詳細な調査が必要です。
Q: たんぱく質加工のラボ機器はありますか?
A: はい、ございます。
Q: 油糧種子系とでんぷん質作物系、それぞれの作物内で抽出ラインの互換性はどの程度ありますか?
A: たんぱく質の沈殿と洗浄に関しては抽出ラインはかなり類似しています。抽出工程にも共通点はありますが、最大の違いは抽出デカンタから出る固形物の取り扱い方法です。また、油分の少ない油糧種子(1〜2%)はたんぱく質含有率が高いため、原料トンあたりのたんぱく質量が多くなります。
Q: 酸沈殿によって、たんぱく質の機能性に影響はありますか?
A: アルファ・ラバルではこの点についての詳細な研究は行っていませんが、ある程度の影響がある可能性はあります。
Q: 黄えんどう豆をXトン処理したい場合、アルファ・ラバルは工場全体を構築し、ビジネスモデル全体を提供できますか?
A: 具体的な内容についてはぜひお問い合わせください。
Q: 摂氏60〜70度以下の温度で、加熱を行わずに機能性たんぱく質を抽出するプロセスはありますか?
A: はい、アルファ・ラバルは対応可能です。殺菌工程は行いますが、その時間を最小限にし、変性を抑えるよう設計しています。
Q: 塩分を除去するためのイオン交換装置はありますか?
A: 現時点ではアルファ・ラバル自身はこの装置を供給していませんが、お客様が当社のシステムを導入される場合、範囲に含めることは可能です。
Q: オートファイバーからたんぱく質を抽出した実績はありますか?
A: ファイバーの由来により異なります。たとえばオートミルク製造工程由来のファイバーについては一部研究がなされており、上流の酵素処理でたんぱく質が高度に変性しているため、酵素抽出やアルカリ抽出では難しいとされています。
Q: アルファ・ラバルが製造している膜のタイプは?(中空糸、セラミック、スパイラル型など)
A: アルファ・ラバルでは、スパイラル巻きおよびプレート&フレーム型を製造しています。
Q: 湿式処理と乾式処理を組み合わせて、たんぱく質分離物を得ることは可能ですか?(例:まず乾式処理、その後湿式処理で分離)
A: 技術的には可能ですが、アルファ・ラバルとしては推奨していません。乾式処理では粉が非常に細かくなり、湿式処理に適さなくなるためです。このアプローチには以下の2つの主な問題があります:
- でんぷん粒子が深刻に損傷しており、抽出効率が低下するだけでなく、でんぷん洗浄にも適さなくなります。これは本来の粒子を適切に扱った場合よりも価値が低い製品となる可能性があります。
- 乾式分画により副次的に脂質が濃縮されるため、湿式処理によってたんぱく質純度を高めるのが困難になる場合があります。
Q: 同じ生産ラインで複数の製品を処理することは可能ですか?CIP(定置洗浄)を実施しても製品品質に影響はありますか?
A: 処理は可能ですが、その場合ラインの性能が変化することを念頭に置く必要があります。CIPが適切に行われれば、品質に問題が生じることは基本的にありません。
Q: フラッシュ脱溶剤処理において、供給原料の濃度に制限はありますか?スプレードライと比べてどの程度エネルギー効率が良いのでしょうか?
A: アルファ・ラバルではフラッシュ脱溶剤処理用の装置やプロセスラインは供給しておりませんので、この点については当該分野で活動している他社にお問い合わせください。なお、フラッシュ脱溶剤処理は油分抽出後の溶剤除去に使用される一方、スプレードライは生成された分離たんぱく質などの最終製品の乾燥に用いられるため、この2つの技術を単純に比較するのは適切ではありません。
Q: 油糧種子系とでんぷん質系、どちらのプロセスの方が資本集約型(つまり、より高いCAPEXを要する)ですか?
A: 処理の規模や複雑さによって異なるため、ケースバイケースで評価する必要があります。
Q: たんぱく質の分離後に押出成形で「チャブ(protein chubbs)」を製造する工程があり、これが植物肉の主要原料になります。この最終工程に対して、アルファ・ラバルは装置や技術を提供していますか?
A: 押出成形(extrusion)は分離たんぱく質の活用方法の一例に過ぎません。他にも、プロテインパウダー、飲料用素材、フェイクミート用パティなど様々な用途があります。なお、アルファ・ラバルでは現時点で押出成形の装置は提供しておりません。
Q: 酵素を使用して、アルカリや酸の代わりにたんぱく質を抽出する方法は研究されていますか?もしそうであれば、水洗時における水溶性たんぱく質の損失はどのように管理していますか?
A: 酵素は主に抽出工程で使用されており、沈殿の代替とはなりません。ただし、たんぱく質が加水分解された場合は別製品(加水分解物)となり、抽出たんぱく質とは異なります。酵素による抽出は現在も研究が進められています。酵素で抽出後に酸沈殿を行う場合、pHが低いため水洗時の損失は小さいとされています。加水分解物が生成される場合は、ダイアフィルトレーション膜など別の洗浄技術を用いることで損失を最小限に抑えることができます。
Q: なぜ膜システムは、沈殿やデカンタによるたんぱく質抽出の代わりに使われないのですか?
A: 特定のケースでは膜システムも使用されています。ただし、耐久性の面や操作条件を踏まえると、アルカリ/酸抽出とデカンタを組み合わせたシステムの方が堅牢であるため、比較検討のうえ導入されることが多いです。