100年のご縁がつなぐ未来へ — 中沢乳業 × アルファ・ラバル 対談インタビュー

日本進出100周年を迎えるアルファ・ラバル株式会社。今回は、100年前に初めて遠心分離機を導入されたお客様である中沢グループホールディングス株式会社様との特別対談をお届けします。長い歴史を共有してきた両社が語る、技術と信頼の歩み、そして未来への展望とは。

更新日 2025-09-11

 100年前から続くご縁をたどって

西川:アルファ・ラバル製品を日本に最初に導入されたお客様として、当時の記録について書かれたウェブページを発見した際に非常に感慨深いものがありました。

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中澤:はい。中沢ホールディングスの始まりである中澤牛乳店は、明治元年(1868年)に東京・新橋で創業しました。創立150周年を迎えた年に社史を作ることになり、その際に当社がデラバル社製の遠心分離機を導入したことが分かりました。

 

西川:関東大震災後の混乱期に海外から製品を輸入されるというのは、とても大きなご決断だったのではないかと思います。

 

中澤:明治維新以降、日本でも少しずつ牛乳が飲まれるようになり、乳製品の技術も急速に発展していきました。1923年の関東大震災後の復興期に、乳業界にも近代的な設備が導入されました。私たちはその先駆けとして、生クリーム事業をいち早く展開していましたので、ホテルや菓子業界にクリームが広がることで、日本独自の洋菓子文化の発展にも貢献しました。

 

 

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西川:アルファ・ラバルの分離機は、当時どのようにご活用いただいたのでしょうか。

中澤:当時は、静置した牛乳の上澄みから乳脂肪分を手作業ですくい取って製品化していましたが、効率が非常に悪く、量産には限界がありました。そこで、アメリカからデラバル社製の遠心分離式生クリーム製造機を輸入することで、一気に製造効率が向上しました。この導入によって、当時の中澤牛乳店は生クリーム専門メーカーとしての地位を確立することができたのです。

 

西川アルファ・ラバルの技術が、当時の食生活にも貢献できたということは嬉しく思います。

 

中澤:そうですね。例えば日本独自のものであるショートケーキの始まりについては諸説ありますが、当時の私たちのお客様には、日本の洋菓子の黎明期からクリームを使った洋菓子製造に取り組まれていたというお客様もいらっしゃいます。デラバル社の遠心分離機を導入したことは、当時の洋菓子界にもインパクトがあったのだろうと思います。

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■ 対談者

中沢グループホールディングス株式会社 専務取締役 中澤勇一郎氏

アルファ・ラバル株式会社 代表取締役社長 西川昇

 

■ 中沢グループホールディングス株式会社/中沢乳業株式会社

グループの経営管理を担う持株会社と、生クリームを中心とした乳製品の企画・製造・販売を行う中核企業。150年以上にわたり、日本の食文化を支え、現在は国内外で事業を展開しています。

https://www.nakazawa.co.jp/

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100年企業に共通する価値観

西川長い歴史をお持ちの御社ですが、変化の激しい時代を乗り越えてこられたかと思います。100年前から今日まで、貴社が大切にされてきた価値観や「変わらない信念」について教えてください。

 

中澤:4代目が良く言っていた言葉に、「過去の延長線上に未来はない」というものがあります。クリーム専業メーカーとなってから90年以上が経ちますが、その時代時代で、お客様から「こんなものを作りたい」とお話をいただいた際には設計・開発・改良を重ね、ニーズに合う製品をご提案してきました。これはまさにマーケットインの発想であり、お客様の声を起点にした製品づくりは、今の私たちのものづくりにも生かされています。

 

西川アルファ・ラバルは「Pioneering Positive Impact (より良い未来を切り拓く)」をコーポレートメッセージとして、歴史を重んじつつ、持続的な未来に向けて技術革新を重ねてきました。常にお客様に向きあい、時代に合ったニーズに応えてきたという点で、共通点を感じます。

 

 

中澤:そうですね。私たちは「①製品、②社会、③お客様、④社員とパートナー」の4つの軸を大切にしながら、企業としての成長を重ねてきました。製品の品質はもちろん、社会への貢献、お客様との信頼関係、そして社員の成長と働きがい。これらすべてが、私たちの企業活動の根幹を支えています。 nakazawa640_3.jpg

 

西川長く続く企業に共通する“強さ”とは、どのようなものだと思われますか?

 

中澤:私たちの場合は、お客様と真摯に向き合うことでできた繋がりをとても大切にしてきました。その繋がりでできたご要望を真摯に受け止め、成長のチャンスとしてきたと思っています。

 

西川アルファ・ラバルも、御社に初めて遠心分離機を導入いただいた時代から基本的な原理としては変わりませんが、用途は乳製品、船舶、化学、現在ではビール酵母や医薬製造など、産業転換をチャンスととらえ、成長のチャンスにしてきました。

 

中澤:お互いに、時代の変化を恐れず、むしろそれを成長の機会として捉えてきた点に、100年企業としての共通する価値観があるのかもしれませんね。

時代の変化という点では、クリーム業界は少子高齢化に伴い、国内のケーキ消費率が下がってきています。それを見据えて、近年は海外進出も行っています。

 

西川日本の乳製品は海外でも人気が高く、クリーム製品を使った日本のお菓子などは海外の同僚からとても喜ばれます。

 

中澤:そうですね。私たちもアジア各国に代理店を広げることができ、海外展開を進めています。クリームは鮮度が重要なので、日持ちする製品開発ができたことは、海外市場開拓の弾みとなりました。

 

変わりゆく社会と向き合う、製造業の使命と可能性

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西川気候変動や社会課題への対応が求められる中で、ビジネスにおいての変化など感じられますか?

 

中澤:はい。近年はお客様から、私たちの企業理念や環境経営への取り組みについて聞かれる機会が増えてきました。中沢グループとしても、これまで各拠点でISO9001、ISO14001のもとで品質管理や環境活動に取り組み、さらに昨年FSSC22000を取得しました。これにより、昨今特に注目され、私共の経営方針にも掲げられている「食の安全」に注力して取り組みを進めています。社会課題の解決に取り組むことは、企業価値の向上にも繋がると感じています。

 

 

中澤:はい。近年はお客様から、私たちの企業理念や環境経営への取り組みについて聞かれる機会が増えてきました。中沢グループとしても、これまで各拠点でISO9001、ISO14001のもとで品質管理や環境活動に取り組み、さらに昨年FSSC22000を取得しました。これにより、昨今特に注目され、私共の経営方針にも掲げられている「食の安全」に注力して取り組みを進めています。社会課題の解決に取り組むことは、企業価値の向上にも繋がると感じています。

 

西川サステナビリティにおいて、特に注目されている技術やテーマはありますか?

 

中澤:まずは自社で取り組めることに注目しています。例えば多品種少量生産を見直すことで、パッケージ削減など、環境に繋がることがあるのではないかと思っています。

 

西川グローバルな社会に対応する品質保証という点では、特に宗教的に食べ物に制約を持っている方々にとっては、製品の「純粋性」に対するニーズは高いように感じます。例えばクリームに入っている動物性油脂が何の動物由来なのかとか、人によっては非常に重要なポイントですよね。

 

中澤:確かにそうですね。場合によっては製造工程を見直すことも求められるので非常に難しいのですが、品質保証の担当部門が調査を進めています。また、国によってクリームの濃度(%)の定義が異なったりするので、対応すべき課題は多岐にわたります。

 

西川アルファ・ラバルのようなプロセス技術の会社に求められることなどがあれば教えていただけますでしょうか。

 

中澤:私は製造開発の人間ではありませんが、現場の課題やアイデアに対して「こんなことできるよ」という技術があればぜひ教えていただきたいですね。

 

西川私たちは湘南センター内に、分離機のラボを持っています。何か「こんな分離がしたい」「できるかな」というニーズがあれば、サンプルをお持ちいただき、テストできますので、ご要望があればぜひお持ちください。

 

中澤:100年のご縁から、また新しい価値が生まれると嬉しいですね。

 

中沢グループとアルファ・ラバル。100年続く歴史を持つ両社が、時代の変化を恐れず、技術と信頼を礎に未来を切り拓いてきた姿は、製造業の可能性を力強く示しています。

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中沢グループホールディングス株式会社/中沢乳業株式会社

グループの経営管理を担う持株会社と、生クリームを中心とした乳製品の企画・製造・販売を行う中核企業。150年以上にわたり、日本の食文化を支え、現在は国内外で事業を展開しています。

リンク先:https://www.nakazawa.co.jp/

 

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