ビジュアル・コンディションアセスメントが、シーバスのウイスキー蒸留所におけるダウンタイムを最小化

ウイスキー業界は現在、世界的な成長を遂げており、シーバス・ブラザーズ (Chivas Brothers) が製造するようなシングルモルトやブレンデッド・スコッチウイスキーの、安定したなめらかな味わいが、現代の消費者にますます支持されています。こうした高まる需要に応えるためには、生産効率の向上と突発的なダウンタイムの最小化が鍵となります。 そのためシーバスでは、不要な生産停止や故障を未然に防ぐために、アルファ・ラバルのビジュアル・コンディションアセスメント(Visual Condition Assessments)を導入しています。

更新日 2025-05-27
man pouring whiskey

アルファ・ラバルのビジュアル・コンディションアセスメントにより、シーバスは熱交換器のメンテナンスを計画的に実施

シーバスは、世界でも有数のスコッチウイスキーブランドであり、目の肥えた愛飲家向けのプレミアムウイスキーとして広く知られています。そのオーナーであるペルノ・リカール社は、現在スコットランドに12の蒸留所を保有しており、将来的な需要増加に対応するため、生産体制の拡大を計画しています。

短縮される「サイレントシーズン」

多くのウイスキーメーカーと同様、シーバスでは夏季に生産を一時停止する「サイレントシーズン」を設け、設備の重要なメンテナンスを実施しています。これは、ウイスキー製造サイクルの中でも極めて重要な期間であり、操業の安定性と製品品質の維持に不可欠です。しかし、世界的な需要の高まりにより、このサイレントシーズンは最短で10日間にまで短縮され、蒸留所は限られた時間内に年次メンテナンスを完了させるという大きなプレッシャーを抱えることになりました。

熱交換器の点検作業

このメンテナンス期間中の主要な作業のひとつが、現場にある熱交換器の点検です。従来、シーバスの技術者たちは、いくつかの熱交換器を実際に開けて清掃やプレートの交換が必要かを確認していました。多数の熱交換器を開閉・点検する作業は非常に時間がかかり、実際には不要なケースも多く、内部構造を繰り返し動かすことで不具合が発生するリスクもありました。予測に基づくメンテナンスができていなかったため、保守作業の計画は立てにくい状況にありました。

効率的で非接触型のソリューション

この状況を改善すべく、2020年にシーバスはアルファ・ラバルに相談を持ちかけました。目的は、熱交換器のメンテナンス作業の効率化と、故障や劣化を事前に把握し、長期的なメンテナンス計画を立てられるかという点でした。これに対してアルファ・ラバルが提案したのが、「ビジュアル・コンディションアセスメント(VCA)」の活用です。

このソリューションでは、熱交換器を分解・再組立てする必要がなく、エンジニアがスマートフォンやiPadに装着したサーマルイメージングカメラを使って現場で状態を診断します。腐食、漏れ、ファウリング(汚れ)、誤った設置など、さまざまな問題を非接触で確認できるため、作業時間の大幅な短縮とメンテナンスの精度向上が可能になります。

VCAとアルファ・ラバルのおかげで、サーマルイメージング、データ収集、レポート作成のメリットを実感しています。
シーバス メンテナンス部門
Visual Condition Assessments

レポートによる計画的なメンテナンス

VCA(ビジュアル・コンディションアセスメント)は、熱交換器の数にかかわらず同じ手順で実施され、その結果として「実施すべき作業内容」が明記されたレポートが作成されます。各作業には「緊急」と「非緊急」の優先度が付けられるため、シーバスは作業の優先順位を付け、計画的なメンテナンスが可能になります。典型的なVCAレポートには以下の情報が含まれます:

  • ユニットデータ(変更点や適用内容を含む)
  • 問題箇所の写真と説明
  • 顧客ユニットのサーマル画像とその解析結果
  • 調査結果の要約と推奨対応

2年ごとの定期サイクル

シーバス蒸留所での初回VCA監査は2021年春に実施され、全12拠点を対象としました。この監査によって、予期せぬ停止が発生する前にパックの交換が必要な箇所を特定できたことで、事前対策が可能になりました。第2回目は2023年5月に実施され、次回は2025年に予定されています。このように、VCAは2年ごとの定期サイクルとして繰り返し実施できます。

時間・コスト・労力を削減

VCAを活用することで、シーバスのメンテナンスチームは無駄な作業に費やす時間と労力を大幅に削減できました。VCAレポートが提供するデータをもとに、必要な作業だけに集中できるため、エンジニアは本来の付加価値業務により多くの時間を割くことが可能になります。

シーバスのメンテナンス部門は次のように述べています。「VCAとアルファ・ラバルのおかげで、サーマルイメージングやデータ収集、レポートによる恩恵を大いに実感しています。」

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技術ハイライト

man holding ipad next to heat exchanger

アルファ・ラバルのビジュアル・コンディションアセスメントでは、ガスケット式プレート熱交換器の状態を迅速に把握できます。機器の実際のコンディション、機械的な詳細状態、修理の必要性、そしてガスケットの残寿命予測など、貴重なインサイトが得られます。

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