技術情報 - 溶接スパイラル熱交換器
スパイラル熱交換器の設計・製造において、アルファ・ラバルほど豊富な経験を持つサプライヤーは市場に存在しません。50年以上にわたる専門知識が、過酷なプロセス課題に対応する究極のソリューションを生み出してきました。この技術、利用可能なモデル、そしてそれを可能にする独自の革新について、ぜひ続きをご覧ください。
溶接スパイラル熱交換器の特長
SelfClean™
優れた洗浄性と長期性能
アルファ・ラバルのスパイラル熱交換器に採用されているSelfClean設計は、困難な流体、スラッジ、エマルジョン、スラリー、繊維、粒子を含む液体などを扱う用途で発生する汚れや詰まりに対して、信頼性の高いソリューションを提供します。
スパイラルユニットの各回路は単一の流路で構成されています。この連続的にカーブした単一チャネル構造は、高い乱流を生み出し、初期段階から汚れの付着を最小限に抑えます。もし汚れが発生し始めても、流れ全体がチャネルを通過する必要があるため、局所的な流速が上昇します。これにより、堆積物を形成と同時に洗い流すスクラビング効果が生まれます。
さらに、この設計の追加メリットとして、デッドスポットや停滞のリスクを排除し、より効率的な熱伝達を実現します。
RollWeld™
自動化された信頼性の高いチャネル封止
アルファ・ラバルのスパイラル熱交換器の製造には、チャネルの縁を曲げるための自動化プロセスが組み込まれています。その後、最終的な封止溶接にはコールドメタルトランスファー方式の自動溶接機が使用されます。
この「RollWeld」技術の組み合わせにより、チャネル封止の品質が一貫して確保されます。これは、チャネル溶接部の強度と耐食性、ひいてはユニット全体の信頼性にとって極めて重要です。
HighP™
高圧用途向けのカスタムソリューション
従来のスパイラル熱交換器では対応できない高い設計圧力や差圧が求められるプロセスに対して、アルファ・ラバルはお客様のニーズに合わせた完全なカスタムソリューションを提供します。
当社のHighPスパイラル熱交換器は、二重ガスケットシステム、自立型内部コイル、ボルト固定カバー付きの特殊な本体とシェルなど、さまざまな機能を組み合わせて設計されています。経験豊富なエンジニアが設計プロセス全体を通じてお客様と連携し、特定の課題に最適な熱交換器を確実にご提供します。
スパイラル熱交換器の仕組み
スパイラル熱交換器の動作原理
アルファ・ラバルのスパイラル熱交換器は、2つの同心円状のスパイラル流路を備えた円形ユニットで構成されており、それぞれの流体に1つずつ流路があります。異なる媒体は向流で流れます:一方の流体はユニットの中心から入り外周へ向かって流れ、もう一方は外周から入り中心へ向かって流れます。チャネルは曲線状で、断面は均一です。媒体が混ざり合うリスクはありません。
製品側のチャネルは通常、一方が開放され、もう一方が閉じられています。加熱・冷却媒体用のチャネルは、媒体の清浄度に応じて両側が閉じられる場合があります。各チャネルには、熱交換器の中心と外周にそれぞれ1つずつ接続口があります
スパイラル熱交換器の設計
単一チャネル構造は、アルファ・ラバルが SelfClean™ 設計と呼ぶスクラビング効果も生み出します。熱交換チャネルで汚れが発生した場合、その部分の断面は狭くなります。しかし、流れ全体がチャネルを通過する必要があるため、流速が上昇し、その結果、流体の力で堆積物が形成されると同時に洗い流されます。
この設計を、流れが複数のチューブに並列で入るシェル&チューブ熱交換器と比較してください。チューブが汚れ始めると、圧力損失が増加し、流体は代替の流路を探します。その結果、チューブの汚れや詰まりは非常に早く進行します。一方、アルファ・ラバルのスパイラルでは、汚れや詰まりは事実上排除されます。
Alfa Laval welded spiral product range
液体/液体用 SpiralPro
アルファ・ラバルの SelfClean™構造により、SpiralProは、汚れた流体、スラッジ、エマルジョン液、スラリー、繊維または粒子を含む液体を流す場合において最善の選択となります。 流体は単一流路を連続的に流れるので、流速はあらゆる堆積物に対して作用し、それらが流路を通って出口側へ「押し出します」。
SpiralPro はコンパクトなので、複数の大型シェル&チューブ式熱交換器を1つのSpiralPro に置き換えることができます。これにより、メンテナンスや洗浄の必要性が減るだけでなく、設備投資にも大きなメリットがあります。 熱交換器の洗浄が必要な場合は、ハイドロジェットで洗うためにカバーを簡単に取り外すことができます。
用途
- 固形物、繊維、スラリー、スラッジを含む汚れた液体
- 液体ー液体予熱、加熱、冷却および熱回収
蒸気ヒーターとしての SpiralPro
汚れがひどい液体の蒸気加熱に最適化された SpiralPro も提案可能です。 すべての SpiralPro と同様に、これらは高圧水で素早く簡単に洗浄するために、流路に完全にアクセス可能です。
向流設計により熱回収効率を最大化し非常に近い温度アプローチを保証します。
用途
- 固形物または繊維、スラリー、スラッジを含む汚れた液体、および蒸気による加熱を必要とする汚れやすい流体
高真空蒸気の凝縮 SpiralCond
SpiralCond は、凝縮と蒸発(再沸騰)の両方を含む困難な二相の熱交換器に対して非常に効率的なソリューションを提供します。 SpiralCond は縦型でコンパクトなデザインのため、同等のシェル&チューブ式熱交換器に比べて設置面積が非常に小さく、同時にサポート構造と配管の複雑さも軽減されます。
SpiralCond ユニットは向流ではなくクロスフローを使用しています。 熱交換器は、仕様条件に応じて完全にカスタマイズされており、圧力損失が最小になるようにチャネル間隔が設計されています。 そのため、SpiralCond は高真空定規の凝縮用途に理想的です。
用途
- ガス:純蒸気および不活性ガスとの混合流体
- 蒸気/液体:上部凝縮器、還流凝縮器、真空凝縮器、ベントコンデンサー、ファウリング流体を含むリボイラー、ガスクーラー
塔頂に設置する SpiralCond
複数の冷却媒体が使用される凝縮のために、アルファ・ラバルはカラムに統合された SpiralCond モデル熱交換器を提供することができます。 単一独立型の SpiralCond と同様に、この構成にはクロスフローとオープンチャネルがあり、真空状況での圧力損失を非常に小さくすることができます。
高効率なSpiralCond により、従来のソリューションよりもカラムの高さを短くし、直径を小さくすることができるため、プラント全体の設備投資と設置コストを大幅に削減できます。
用途
- ガス/液:塔頂コンデンサ、リフラックスコンデンサ、真空凝縮器、ベントコンデンサー
HEXpert 熱交換器選定ツール
要求の厳しいプロセス向けに最適な熱交換器をすばやく見つけることができます。お客様の用途に関する情報を入力すると、5分以内にお客様のプロセスで熱交換器を活用する際の推奨事項を確認することができます。