年間140万ユーロのコスト削減を実現:Rayong Olefins社がアルファ・ラバルの熱回収ソリューションでエネルギーコストを削減

競争の激しいエチレン市場において、運転コストの削減は収益性を維持するために欠かせません。タイのマプタプット工業団地に拠点を置く Rayong Olefins Company は、効率向上とコスト削減を目的にエネルギー節約の取り組みを開始しました。 アルファ・ラバルとの協働により、Compabloc 120 熱交換器を導入した結果、同社は大幅なエネルギー削減と運転性能の向上を実現しました。

更新日 2025-10-07

課題

エチレンの製造はエネルギー集約型のプロセスであり、エネルギーコストは運転費全体の大きな割合を占めます。そのため、エネルギー効率をわずかに改善するだけでも、収益に大きな影響を与えます。2009年、Rayong Olefins社は新たなエネルギー削減策を模索するプロジェクトを開始しました。当時、同社のプラントでは主要プロセスにコンパクト熱交換器を使用しておらず、ユーティリティ用途で一部採用されている程度でした。

最大の課題は、クラッカー後のプロセスガスを冷却する際に使用される高温クエンチ水から、より多くの熱を回収することでした。このクエンチ水には大量のエネルギーが含まれていましたが、既存のシェル&チューブ式熱交換器の性能が低く、多くのエネルギーが無駄になっていました。目標は、熱回収量を増やし、エネルギー消費を削減することでした。

ソリューション

アルファ・ラバルは、タイの現地代理店である Hydrocarbon Solutions (Thailand) Co., Ltd と協力し、全溶接構造のコンパクト熱交換器のラインアップを提案しました。詳細な評価の結果、Rayong Olefins社は既存のシェル&チューブ式熱交換器と直列に Compabloc 120 を設置することを決定しました。このソリューションは、高温・高圧条件への対応力、コンパクトなサイズ、高い熱効率を兼ね備えている点が評価されました。

Compabloc 120 を導入した結果、脱気装置での蒸気使用量は35トン/時から20トン/時へと43%削減されました。
また、Compabloc のコンパクトなサイズと設置スペースの小ささにも非常に満足しています。
— Aromatic部門マネージャー Wirasak Sonamthiang 氏

プロセス導入

導入プロセスでは、次の主要ステップが実施されました。

  1. 評価と承認:Rayong Olefins社とアルファ・ラバルのエンジニアが、プラント内でコンパクト熱交換器を活用できる可能性を詳細に分析。その結果、優れた性能と設計を持つ Compabloc 120 が選定されました。
  2. 設置:Compabloc 120 は既存のシェル&チューブ式熱交換器と直列に設置されました。この構成により、クエンチ水からの熱回収量が増加し、その熱をボイラ給水の予熱に再利用できるようになりました。
  3. 最適化:導入後、ボイラ給水がより高温で脱気装置に入るようになり、水中の酸素を除去するための熱量が削減されました。これにより、大幅なエネルギー節約が達成されました。

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プロセス概要

 

効果と利点

Compabloc 120 熱交換器の導入により、Rayong Olefins社は以下のような大きな効果を得ました。

  • エネルギーコスト削減:熱回収量を5.5 MW増加させ、年間140万ユーロのエネルギー削減を実現。設置費を含めた投資回収期間はわずか6か月未満でした。
  • 蒸気使用量の削減:ボイラ給水温度の上昇により、脱気装置での蒸気使用量が35トン/時から20トン/時へと43%削減。
  • コンパクト設計:Compabloc 120 の小型設計により、既存システムへの設置や統合が容易になりました。
  • メンテナンスフリーの運転:Compabloc 120 は高い乱流流動設計により、シェル&チューブ式と比較して付着物(Fouling)が発生しにくく、設置から2年後も清掃の必要がなく、メンテナンスコストを最小限に抑えました。

まとめ

Rayong Olefins社は、アルファ・ラバルとの協働により Compabloc 120 熱交換器を導入し、エネルギー効率を大幅に改善しました。この取り組みは、エネルギー削減、蒸気消費量の低減、そしてメンテナンスフリー運転を実現し、効率的で持続可能なエチレン生産という企業目標の達成に大きく貢献しました。これにより、同社はグローバル市場での競争力をさらに強化しています。

 

        

Alfa Laval Compabloc heat exchangerコンパクトで全溶接型の熱交換器であるCompablocは、さまざまな媒体で、高温高圧で動作するように設計されています。 

Compablocの詳細 

Key facts

Design temperature
400°C (752°F), down to -100 °C (-148°F)

Design pressure
From full vacuum to 42 barg (600 psig)

Maximum heat transfer area
840 m2 (8,985 ft2)

Material of construction
316L, SMO254, 904L (UB6), Titanium, C-276/C-22/C-2000