ATMOsphere レポート ― データセンターの効率性を推進:アルファ・ラバルはいかにして熱を機会へと変えるのか
以下の記事は、ATMOsphere レポート「Clean Cooling for Data Centers 2025」の2025年版に初掲載されたものです。本特集にあたり、ATMOsphereよりインタビューの機会をいただきましたことを光栄に思います。
更新日 2026-02-17 執筆者 Michael Hinesアルファ・ラバルは、スウェーデン・ルンドに本社を置く、熱交換、分離機、流体処理ソリューションのグローバルメーカーです。1883年に創業し、当初はミルク分離機を製造していました。最初の熱交換器を製造したのは1938年です。現在では世界30カ所以上に製造拠点を持ち、従業員数は22,000人を超えています。1 HVAC&R分野のポートフォリオには、ガスケット式プレート式熱交換器(GPHE)およびブレージングプレート式熱交換器(BPHE)が含まれます。
アルファ・ラバルは、20年前からデータセンター分野に取り組んできました。同社データセンター部門責任者のAnna Blomborg氏によれば、同分野は市場の急速な拡大と歩調を合わせて成長してきたといいます。また、「見通しは引き続き力強い」と述べています。
私たちが目にしている予測は非常に大きなものです。いくつかの数量予測は、ほとんど現実離れしているようにも感じられます。保守的に補正したとしても、その数字は依然として印象的です。この規模の可能性が、私たちの成長投資への意欲をさらに高めています。
データセンター向け熱交換器
アルファ・ラバルは当初、大型のガスケット式プレート式熱交換器をデータセンターに供給してきました。これにより、海水や淡水を活用した蒸発冷却やフリークーリングが可能になりました。同時に、ブレージングプレート式熱交換器は、チラー、ヒートポンプ、そして熱再利用接続用途に採用されてきました。
2022年には、液冷環境におけるクーラント分配ユニット(CDU)向けに、コンパクトなBPHEを初めて投入し、ホワイトスペース分野へ参入しました。最初のプロジェクトは、米国の暗号資産マイニング事業者向けで、単相イマージョン冷却システムに採用されました。
「暗号資産業界は液冷技術の導入において先行していました。従来のワークロードと比べて計算密度がはるかに高く、イマージョン冷却のような技術を積極的に採用していました」とBlomborg氏は述べています。
その後、業界の焦点は単相のダイレクト・トゥ・チップ冷却へと移っています。この技術は現在、大きな注目を集めています。さらに、二相ダイレクト・トゥ・チップ冷却やイマージョン冷却も代替ソリューションとして注視しているといいます。
同社はクーラント分配ユニットの急速な進化を継続的に追跡しており、最近では2.5MW対応CDU向けに設計された超大型ブレージングプレート式熱交換器を発表しました。これは大容量冷却ソリューションへの需要拡大に応える重要な一歩であり、大規模なイノベーションの新たな機会を切り拓くものです。
エンドユーザーの関与拡大
近年、データセンター事業者と技術プロバイダーの関係性は変化しています。従来は冷却スキッドやCDUを構築するOEMへの供給が中心でしたが、現在ではハイパースケーラーをはじめとするエンドユーザーが直接連携に乗り出しています。
この動きの背景には、PUE(Power Usage Effectiveness:電力使用効率)の改善を追求する姿勢があります。熱交換器設計における数度、あるいは0.数度レベルの改善であっても、数百メガワット規模のIT電力を運用する施設では莫大なエネルギー削減につながります。
エンドユーザーが設計プロセスに積極的に関与する傾向が強まっています。彼らは熱交換ソリューションを効率向上の戦略的レバーと捉えています。熱交換器設計の精度を高めることで実現できることは非常に多くあります。規模が拡大すればするほど、その小さな改善が大きな意味を持つのです。
Anna Blomborg, Head of Data Centers at Alfa Laval
データセンター向けに数千台の熱交換器
現在、世界中のデータセンターに数千台のアルファ・ラバル製熱交換器が設置されています。既設ベースは大規模であり、毎年数百台の大型ガスケット式プレート式熱交換器と数千台のコンパクトなブレージングユニットが新たに導入されています。
かつては100MW規模の施設が大規模とされていましたが、現在では1GW以上に拡大するプロジェクトをアルファ・ラバルが支援しています。 地域別では米国が約50%を占め、アジアが30%、欧州が20%となっています。今後は中国、インド、タイ、そして北欧などの高成長地域に大きな機会を見込んでいます。
急速な拡大は機会と同時に複雑性ももたらします。この規模の需要に対応するには、先進設備への投資だけでなく、生産能力拡張やリードタイム短縮への取り組みが不可欠です。
アルファ・ラバルは新たな生産ラインの導入や工場拡張への戦略的投資を進め、効率と生産性の向上に取り組んでいます。
同時に、AI主導の成長速度に関する不確実性を踏まえ、精度の高い需要予測が極めて重要です。「3~4年後にAIの成長曲線がどうなっているかが最大の問いです。それが現在のすべての意思決定に影響しています。私たちは柔軟性を組み込んだオペレーション体制を構築しています」とBlomborg氏は述べています。
持続可能性と規制がもたらす機会
米国市場はスピード重視の姿勢により大きな機会が存在します。一方、EUでは持続可能性や規制への対応が新たな機会を創出しています。
アルファ・ラバルは2027年までにScope1およびScope2排出量のネットゼロを達成し、2020年比で2030年までにScope3排出量を50%削減する目標を掲げています。2 グリーンスチールやグリーン銅の調達も拡大しています。
現在は納期、精度、品質が評価指標です。しかし今後は持続可能性がサプライヤー選定の重要要素になると考えています。その変化に備えています。
Anna Blomborg, Head of Data Centers at Alfa Laval
EUにおけるPFAS(有機フッ素化合物)規制の可能性について、Blomborg氏は規制を歓迎すると述べています。同社は自然冷媒の推進役であり、業界全体で自然冷媒への移行が十分に進んでいないことや、PFASへの対応が不十分であることに課題意識を持っています。
PFAS全面禁止は数年先と見られますが、欧州ではすでにデータセンターの排熱再利用を義務付ける規制が存在します。2023年9月、EUはエネルギー効率指令を改訂し、IT設備容量500kW以上のデータセンターに排熱利用の追跡を義務付けました。3 1MW以上の施設では、技術的・経済的に不可能な場合を除き、排熱回収の実施が求められます。ドイツ4およびフランス5ではさらに踏み込み、2028年までに最大20%の排熱再利用を義務付ける法制を導入しています。
アルファ・ラバルはこの移行を積極的に支援しています。同社の熱交換技術はエネルギー回収を最大化する設計となっており、地域暖房や施設内再利用などへの排熱活用を可能にします。吸収式冷却や有機ランキンサイクル(ORC)システムなど、さまざまな再利用オプションと容易に統合できる製品設計により、データセンターの余剰熱を価値ある資源へと転換します。
チップ性能の向上に伴い、発生する熱の価値も高まっています。チップ温度が60°C(140°F)に達すれば、排熱を電力へ転換する可能性も見えてきます。
「効率が完璧でなくとも、膨大な熱量を考えれば十分に検討価値があります。可能性に大きな期待を抱いています」とBlomborg氏は述べています。
参考文献:
1 Alfa Laval, December 2025, “Our Purpose and How We Create Value”
2 Alfa Laval, December 2025, “Annual Sustainability Report 2024”
3 European Union, September 20, 2023, “Directive (EU) 2023/1791 of the European Parliament and of the Council of 13 September 2023 on Energy Efficiency and Amending Regulation (EU) 2023/955 (recast)”
4 Holtermann, A., Bird&Bird, June 4, 2024, “Data Centres & Waste Heat: An Overview of the Legal Requirements for Waste Heat Utilisation”
5 Chandesris, S., Addleshaw Goddard, December 2025, “The Future of Data Centers in France”
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ATMOsphereは、冷却分野のクリーン化を使命とする、グローバルかつ独立したマーケットアクセラレーターです。
投資家、エンドユーザー、メーカーのいずれに対しても、より持続可能な技術への移行を支援する包括的なサービスを開発・提供しています。これをグローバルかつ大規模に展開しています。
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