2025-05-28
熱交換器プレートをまとう建物 ― 持続可能性を体現する住宅「Droppen」
スウェーデン・マルメにある14階建ての集合住宅「Droppen(ドロッペン)」。108戸を備えるこの建物には、ひと目でわかる“特別さ”があります。 有名建築家ゲルト・ウィンゴード氏が設計を手がけたこと。持続可能な社会を目指すプロジェクト「Embassy of Sharing(共生の大使館)」の一環として建てられたこと。どちらも魅力的ですが、それだけではありません。 Droppenの本当のユニークさは、外壁にあります。 この建物の外装には、なんと再利用されたプレート式熱交換器のプレートが使われているのです。 廃材をただの資源と見るのではなく、建築デザインとして昇華させたその姿は、サステナビリティの新しい可能性を体現しています。
この建物は、Granitor Properties(グラニトール・プロパティーズ)によって開発され、「Embassy of Sharing(共生の大使館)」プロジェクトの一部として誕生しました。このプロジェクトは、持続可能性を重視した地域づくりを目的とした取り組みです。
建物の1階部分には再利用されたレンガが、上層部には、アルファ・ラバル社から提供された、かつて熱交換器で使用されていたプレートを再利用したものが外装材として使われています。これらのプレートは高品質なステンレス鋼でできており、ファサード素材としても優れた性能を発揮します。
このプロジェクトが目指しているのは、環境面だけの持続可能性ではありません。
社会的な包摂も重視されており、Droppenは人と人とのつながりを促し、安全性を高めるよう設計されています。
共有のワークスペースや休憩スペースを備えたランドリールーム、屋上テラス、屋外ジム、ランニングトラックなどが設けられ、住民同士の交流やコミュニティの形成を促進。孤立感の解消にもつながることが期待されています。
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“このプロジェクトを特別なものにしていたのは、素材の再利用プロセスとその背後にある物語でした,” says Wanda Zubillaga, project lead at Wingårdhs in Malmö.
"Stena Recycling(ステナ・リサイクリング)との協力により、利用可能な素材フローを調査し、最終的に 再利用されたプレート式熱交換器のプレートからファサード(外装) を開発しました。これは従来とは異なる設計プロセスで、柔軟性と創造性が求められましたが、その結果は洗練されており、大きな成功を収めました。"
建物は高い断熱性と優れた技術仕様により非常に低いエネルギー消費を実現しており 、全ての照明には省エネ性能の高いLED照明が使用されています。
これらすべてに加え、ユニークな建築形状によって Droppenは象徴的な建築物となり、サーキュラー建築のモデルとしても注目されています。