AlfaFlash ZLD
AlfaFlash ZLD system を導入すれば、排水を再利用しながら、廃棄物に含まれる価値ある成分を回収できます。システムの中心となるのは AlfaFlash 蒸発器で、必要に応じてデカンタ型遠心分離機を組み合わせる構成です。この組み合わせにより、排水やその他の液体から固形分を効率よく除去します。 プロセス中に溶解、あるいは懸濁している有価物質を回収し、自社で再利用したり販売することも可能です。大量の水を使用する産業プロセスの場合は、これまで排出していた水を循環・再利用でき、処理や廃棄にかかるコスト削減にもつながります。
ZLDおよびプロセス結晶化に対応するモジュール型またはカスタム設計システム
- 排水を根本的に削減し、ゼロリキッドディスチャージを実現
- プロセス水の最大98%を回収できる高純度の蒸留水を再利用可能
- 固形分を最小化し、再資源化または処分コスト削減につなげる
- 高いエネルギー効率により運転コストを抑制
- コンパクトで堅牢な設計のため、幅広い用途に適した設置が可能
AlfaFlash ZLD system は、液体排水の排出をなくし、再利用や処分が可能な固形物を生成するとともに、高純度の蒸留水を回収して有効活用できる仕組みです。環境負荷の低減とコスト面でのメリットを同時に実現し、変化し続ける規制にも柔軟に対応できる設計となっています。
さらに、アルファ・ラバルが長年培ってきた熱技術と分離技術の実績により、産業から食品まで幅広い分野で、最大限の水再利用と高いエネルギー効率を両立した、コスト効率に優れたソリューションを提供します。
Zero Liquid Discharge(ZLD)とは何か、なぜ重要なのか
ZLD 技術は、産業界が直面する水関連の課題──廃棄物や汚染の削減、水資源の不足、法規制への対応、循環利用の実現など──に応えるものです。こうした世界的な動向を背景に、ZLD 市場は成長を続けています。多くの産業プロセスは大量の真水に依存しており、その結果、汚れた排水が発生します。この排水は、処理や排出、外部委託による廃棄にコストがかかるだけでなく、環境面での懸念も伴います。
ZLD system は、この排水を処理し、水だけでなく価値ある化学物質も現場で回収・再利用できるよう設計されています。これは、採算性の高い循環型ソリューションを実現するうえで欠かせない要素です。ZLD 技術によって水を再利用し、価値を回収することで、産業プロセスはより持続可能で効率的になります。
ZLD system は工場のレジリエンスを高め、収益性とサステナビリティの両立を可能にし、外部環境の変化に左右されにくい事業運営を支えます。
ZLDは複数の技術を組み合わせて実現します
ZLD system の目的は、液体廃棄物をできる限り減らし、それを再利用可能なきれいな水と、再利用・販売・安全な処分が可能な固形物へ転換することです。ZLD system は複数の技術を組み合わせて排水量を最小化し、最終的に高品質の水と濃縮固形物を得られるよう構成されています。一般的なプロセスは次のとおりです。
- 原水排水の化学的・物理的前処理。後段の工程に適した状態へ整えるため、化学反応、沈殿、浮上、ろ過などを行います。
- 膜処理による前濃縮。逆浸透(RO)が広く使用され、低コストで排水量を大幅に削減できます。
- 膜処理後の高濃度塩水(リジェクト)を熱蒸発させる工程。熱蒸発により、塩水の体積をさらに縮小します。
- 濃縮塩水の結晶化工程。この段階で固形物(結晶)が生成され、再利用または適切な処分が可能となり、Zero Liquid Discharge を達成します。
ZLD system の詳細をご覧ください
Alfa Laval の ZLD system は、液体排出量を極限まで削減するための、堅牢でコンパクトなソリューションです。高い適応性を備えているため、さまざまな産業の厳しい用途で活用できます。排水量の削減に加えて、製品成分の回収や、再利用可能な水の回収にも対応します。
また、アルファ・ラバルが長年にわたり培ってきた熱技術と分離技術の実績により、コスト効率に優れたソリューションを提供できます。
ホワイトペーパー:Zero Liquid Discharge で実現する水の節約と再利用
ZLD 技術が、産業界が直面する廃棄物・汚染の削減、水資源の不足、法規制への対応、循環利用といった水関連の課題にどのように貢献するのかを解説。
標準構成のモジュール式システム、またはご要望に応じたカスタム構成
Mechanical Vapor Recompression(MVR)方式
- 動力として電力を使用する方式
- 蒸気駆動式システムと比べて大幅にエネルギー消費を削減
- 蒸発能力は1.5〜6 トン/時の標準仕様に加え、必要能力に合わせたカスタム構成も可能
- プレアッセンブリーされたモジュールとして提供可能
- ZLD構成では、結晶の脱水用デカンタ遠心分離機を装備し乾燥固形物を生成。単体蒸発器としての提供も可能
Multiple Effect システム
- 蒸気、温水、廃熱などを熱源にした多重効用方式。蒸気消費を抑える Thermal Vapor Recompression(TVR)との組み合わせも可能
- プレアッセンブリーされたモジュールとして提供可能
- ZLD構成では、結晶の脱水用デカンタ遠心分離機を装備し乾燥固形物を生成。単体蒸発器としての提供も可能
Documents
蒸発システムに利用できる熱源
構成オプション
Alfa Laval の蒸発システムは、機械圧縮や熱圧縮に加えて、乾燥装置から発生する廃蒸気など、さまざまな熱源を利用することができます。
機械式蒸気再圧縮(MVR)
- 蒸気消費が少ない、または不要
- 動力として電力を使用
多重効用システム(Multiple-effect system)
- 蒸気を再利用することでエネルギーを節約
- シンプルで柔軟な構成が可能
熱蒸気再圧縮(TVR)
- 蒸気消費を削減することで低コストを実現
- 構造がシンプルで、可動部品がない
プロセスから発生する廃熱の活用
- 低品位蒸気や廃熱を有効利用
- 排ガスからエネルギーを回収
動作原理
水はまず AlfaFlash 熱交換器に供給され、加熱された流体はフラッシュオリフィスを通って押し出されます。この時点で流体は、濃縮液と蒸気の二相に分かれ、サイクロンセパレーターへ送られます。セパレーター内では遠心力によって蒸気と液体の分離が促進されます。蒸気は上部空間へ上昇し、その過程で微小液滴やミストが除去。一方、濃縮液は循環ポンプへと流れ戻ます。 さらに、濃縮された液体の一部はデカンタへ送られ、そこで固形物と水に分離されます。
デカンタ遠心分離機の動作原理
Alfa Laval のデカンタ技術は、懸濁固形物を効率的に脱水し、廃棄物を最小限に抑えながら水の回収率を最大化することができます。微小粒子の除去性能も高く、優れた分離効率を発揮します。
詳細は動画でご覧いただけます。
AlfaFlash の動作原理
AlfaFlash ZLD system の機能をより詳しく理解するには、AlfaFlash アニメーションをご覧いただき、強制循環式蒸発技術の仕組みをぜひ体感してください。
適用産業と用途
ZLD ソリューションは、多くの産業と企業で活用できます。以下に示す水使用量の多いプロセスや用途の一覧は、自社設備において ZLD を導入した際に得られる可能性のあるメリットを見つける手がかりにしてください。
アプリケーション - 活用用途
逆浸透(RO)
・RO濃縮水(リジェクト)
分離・脱水
・HVO前処理
・熱分解油(パイロリシスオイル)排水
貯蔵
・蒸発池(エバポレーションポンド)
・テーリングダム/たい積池
冷却/加熱
・冷却塔ブローダウン
・ボイラーブローダウン
スクラビング
・排ガス脱硫(FGD)
・湿式電気集じん装置(WESP)
洗浄/クリーニング
・使用済み苛性ソーダ(Spent caustic)
・CIP廃液(定置洗浄廃液)
・洗浄排水
金属表面処理
・処理浴(Treatment baths)
・洗浄工程
発酵
・糖液の濃縮
蒸留
・蒸留残さ(Stillage)
・ビナース(蒸留副産物)
イオン交換
・イオン交換樹脂の再生廃液
業界・産業
製造業およびサービスセンター
サービスセンター、自動車部品、工具、電子機器などの製造企業では、収益向上とサステナビリティ目標の達成のために、排水量を最小化、あるいはゼロにすることが求められている。
リサイクル産業
アルファ・ラバルは、結晶化や化学リサイクル(リーチング)などのプロセス向けに AlfaFlash ZLD system を提供している。リサイクル工程や、そこで発生する廃液処理の課題にも対応可能である。
産業用水および廃水処理
より持続可能な運用を実現するためには、ビジネスモデルの循環型への移行が欠かせない。産業プロセスでは大量の水が使用されるため、循環型へ移行する第一歩として、その水をどのように処理し、節水や再利用につなげるかを理解することが重要である。
詳しく見る
AlfaFlash ZLD system について、動画でさらに詳しくご覧いただけます。
Alfa Laval service centre recycle almost 100 percent of its water
Solutions to clean industrial wastewater and recover value from waste
How our solutions make a difference in recycling applications
Learn more about our test possibilities
Service
AlfaFlash ZLD system のサービスや部品供給をアルファ・ラバルにお任せいただくことで、安全性と環境への配慮を維持しながら、時間とコストの削減につながる確かな対応と高い信頼性を得ることができます。世界中に広がるサービスネットワークにより、必要なときに、必要な場所で、必要なサポートを提供でき、アルファ・ラバルの専門知識と現地の知見・言語対応を組み合わせた支援が可能です。
Alfa Laval 360° Service Portfolio に含まれる多様なサービスとソリューションは、設備のライフサイクル全体を通してお客様の投資を保護し、AlfaFlash ZLD system が期待される性能を最大稼働率と高い運転効率で発揮できるよう支援します。
Alfa Laval Service Agreement は、お客様のニーズや要件に合わせて 360° Service Portfolio から最適なサービスを組み合わせる個別契約であり、より計画的で安心な運用を実現します。
アルファ・ラバルは、お客様の要件に合わせて長期的に寄り添い、次のようなサポートを提供します。
- 立ち上げ(Start-up) – 導入時のプロフェッショナルな試運転支援により、AlfaFlash ZLD system を確実に稼働・最適化します。また、オペレーター向けのトレーニングで、新しい設備に早く習熟できるようにします。
- メンテナンス(Maintenance) – 予防保全プログラムによって安定運転を支え、予定外停止のリスクを最小限に抑えます。
- サポート(Support) – お客様の頼れるパートナーとして、優先的な一次サポートを提供し、必要に応じて遠隔または現場で支援します。
- モニタリング(Monitoring) – 設備の点検・監査に加え、重要データを継続的に監視することで潜在的な問題を早期に把握し、手遅れになる前の予防措置を可能にします。
- 改善(Improvements) – 最新技術を取り入れた改造やアップグレードにより、性能向上や運転の最適化を実現します。
広範な部品供給・物流ネットワークにより、必要な部品や消耗品を必要なときにお届けできます。
Alfa Laval Service Agreement は、耐久性と信頼性が保証された純正部品を使用し、設備寿命の延長や総所有コストの低減につながります。
AlfaFlash ZLD system への投資を長期的に守り、最適な性能を維持するためにも、Alfa Laval Service Agreement をご活用ください。
アルファ・ラバルは、人と環境を守ることを重視し、その実現をより容易にするための支援を続けていきます。